御廟屋根葺き替え完成-開宗千二百年慶讃大法会事業-
昨年九月から行われていた比叡山西塔「浄土院御廟」の銅板屋根葺替えと同庫裡唐門の改修工事が完成した。浄土院は、宗祖伝教大師最澄上人の祖廟であり、霊峰比叡の中で最も深厳な聖域である。開宗千二百年慶讃大法会の一環として「総登山運動」が今月から展開されるが、その期間中は特別に、午後のみ拝殿の伝教大師御真影に参拝できる。
浄土院は、宗祖伝教大師の祖廟であり、現在は十二年籠山行の道場でもある。伝教大師は、比叡山で修行し、比叡山で学問するということを重視され、修行を行う場所の清浄さと環境の大切さを説かれ、十二年の間、山上の結界から一歩も出ない籠山行を定められた。比叡山の行中、最も厳しい行として知られる。浄土院に籠もる僧を比叡山では「籠山比丘」(ろうざんびく)と呼び、正式には「侍真」といい、御真影に侍するという意味である。現在の侍真は宮本祖豊師。
侍真は、伝教大師が、今も生きておられるがごとく仕える。御膳を供え、拝殿の勤行に上がる前には、祖廟に向かった側の廊下の戸と、拝殿の戸を少し開き、大師を御廟からお迎えする。
-参道整備や石灯籠寄進も-
普段、参拝者は浄土院の拝殿に入ることは許されない。しかし平成十五年から「総登山・総授戒~あなたの中の仏に会いに」のスローガンで始められた開宗千二百年慶讃大法会が、比叡山への総登山運動を四月から三カ年展開するにあたり、特別に午後一時から三時まで拝殿の扉が開かれ、外からではあるが伝教大師御真影を拝することができることになった。
これまで、開宗千二百年慶讃大法会は、檀信徒総授戒運動を展開してきており、西郊良光宗務総長は「是非、この機会に浄土院に参拝され、大師のお心に触れ、総授戒で結んだ仏縁を報告して欲しい」と述べている。
今後は、浄土院の参道改修工事が行われ、今夏には整備を終える。
また天台宗の各教区では、浄土院の参拝道に七尺の仏前石灯籠を寄進することを決めた。秋の大法要には、二十九基の石灯籠が参道に報恩の彩りを添える。