三県特別布教を各地で開催
天台宗では、開宗千二百年慶讃大法会事業の一環として広島県・鹿児島県・沖縄県への「三県特別布教」を計画、昨年までの広島、鹿児島に続き、去る七月一日には初めて沖縄で特別布教「天台宗開宗千二百年記念特別特別講演『己を忘れて他を利する』」を実施し、成功を収めている。なお、同月十四日には広島で三年連続の特別布教、また二十一日には二年連続で鹿児島特別布教を行っており、天台宗寺院が少ない三県に「天台の教え」が弘まる素地ができたと言えよう。
その後、平成十八年には、同じく第二回目の広島特別布教と鹿児島県での第一回特別布教が実施されている。いずれも多くの参加者があり、その成功が今回の沖縄県での「天台宗開宗千二百年記念特別講演」に結びついた。
沖縄県での特別布教は今回が初めてであり、参加者も未知数であったが、フタを開けてみると、入場者は約千七百名にのぼり、会場の沖縄コンベンションセンター・劇場(沖縄県宜野湾市)は満席となった。定刻より早めの出足となり、午後五時半の開演を前に上映された天台宗紹介の映像を、熱心に鑑賞する姿が多かった。
開演後も、天台声明の実唱では、初めて声明に接する人がほとんどのようで、演者の所作に見入ったり、朗々とした節回しを興味深げに聴き入っていた。
メインの瀬戸内寂聴師の講演では、瀬戸内師が天台僧として生きてきた人生をユーモアたっぷりの口調で語り、満場の参加者を魅了していた。
また、同月十四日には、広島県で三回目の特別布教が行われた。会場は前回までと同じく広島市平和記念公園。第一部は同公園内の広島国際会議場において酒井雄哉大阿闍梨が「道遙かなり」と題して講演、引き続き同公園内原爆供養塔前広場において、「戦歿者慰霊・世界平和の祈り」法要を酒井大阿闍梨を導師に厳修した。
鹿児島県では、同二十二日に鹿児島市の南泉院(宮下亮善住職)で特別布教「六月燈と天台の夕べ」を実施しており、同県も二回目を数える。
今回はミャンマーで教育支援の活動を行っている宮下住職の講演や、最後の琵琶盲僧と言われる永田法順師(宮崎県延岡市浄満寺住職・宮崎県無形文化財)の琵琶演奏が行われた。
天台宗寺院が少なく、天台宗の教えに接する機会があまりない地域に対する布教の実践は、持続的に行わなければならない。これら特別布教により素地はつくられた。
今後その種から芽が育ち、やがてはしっかりと根を張って大きな葉が茂るように、宗として取り組まねばならない。
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天台宗檀信徒会会長会議を開催
-事業報告・計画、予決算などを審議-
天台宗檀信徒会(藤崎勲会長)では、七月十一日に平成十九年度会長会議を開催、昨年度の事業報告・収支決算報告並びに本年度事業計画・収支予算案などの審議を行い、提出案件は了承された。また、役員の任期満了に伴い、会長など新役員も選出、会長
は藤崎現会長の留任となった。
なお同会では、開宗千二百年慶讃大法会事業として、宗祖の聖句を刻んだ石碑を比叡山に建立し、五月三十一日に除幕法要を執行している。