東日本大震災における天台宗の取り組みについて

天台宗の支援活動

被災者の立場に寄り添った活動を群馬天台青年会

 はじめに東日本大震災でお亡くなりになった方々へ哀悼の意を表しますと共に、被災地の早期復興をお祈り申し上げます。

 さて、群馬天台青年会では、東日本大震災の被災地復興の一助として、義援金活動と現地支援活動(支援物資の搬送やボランティア活動)を中心に実施いたしました。今回、それらの活動を報告させていただき、僅かなりとも関係団体の皆様の活動の一助となれば幸いです。

 群馬県内でも、地震発生当初は他県と同様に、ガソリンの入手が困難でなかなか現地まで行くことが困難でありました。もどかしい思いで一杯でしたが、天台仏教青年連盟のホームページで被災地からの書き込みを拝見し、すぐに物資を届けなければと強く感じ、各所に協力をお願いいたしました。同時に、義援金の募集活動をはじめ、各会員に義援金をお願いし、集まった義援金に当会災害積立金を加えて、3月18日に地元新聞社を通じて日本赤十字に100万円を送金させて頂きました。

 ガソリンの確保と道路状況の改善により、現地支援活動を開始する目処がつき、まず4月1日に福島の老人ホームや西蔵寺・妙林寺へ、5日には宮城県の寺院二ヶ寺(東雲寺・西之坊)に支援物資(衣類・消耗品・野菜・衛生用品等)を搬送いたしました。13日に、陸奥教区東雲寺に支援物資を運び、その折りに、現地の状況確認と現地ボランティアセンター(以下VC)で登録手順の確認などを行いました。

 そして5月11日に、会員12名に加え、近隣教区の方々と共に石巻市VCに団体登録をし、実作業に入りました。主な活動内容は、被災した一般住宅の家財道具の運び出し、流れ込んだ瓦礫、ゴミの撤去、汚泥の除去で、所有者の立ち会いのもと行なわれました。

津波により、壊滅的な被害を受けた住宅(石巻市) 冷蔵庫などの家財道具を運び出す 畳は全て廃棄。水分を吸って重くなっていた

 現地は津波被害により2ヶ月後でもいまだ電気、ガス、水道をはじめとするライフラインは寸断されたままで、さらに沿岸部ではゴミやヘドロが滞積しており、悪臭が漂い足下もぬかるみ深刻な状況です。また津波による流出物は、家屋や漁船、自動車から記念写真やぬいぐるみ等々あらゆる物が散乱しており、それも手付かずのまま放置されていました。まさに筆舌に尽くし難い状況です。そこで生活を営んでいた人々の悲しみや無念さは如何ばかりかと痛心に堪えません。

 また、撤去すべき瓦礫は、海水や油を含んでおり足場も悪いことも相まって大変な重労働でありました。異臭や砂塵、アスベストなどに対する防護も現地では指導されており、ヘルメット、ゴーグル、防塵用マスク、安全長靴など重装備でなければ作業が出来ない状況です。今後、夏に向けて気温が上がれば、さらに過酷な現場になるのではと懸念されます。

大量の汚泥が家屋に流れ込んでいる 人の手でしかできない地道な作業が続く 汚泥処理が一段落、これよりは細かい作業が続く 汚泥の中に私物が紛れていないかチェックしながらの作業

 現地でのボランティア活動を通しての反省点や注意点は数多くありますが、特に痛切に感じたのは「被災者の立場や心情に添った活動を行う」という事です。

 あるケースでは、一般住宅の家財道具の運び出しや撤去を行う際に、被災者にとって愛着ある私物を乱暴に扱ってしまい、その姿を見た被災者が心を痛めてしまうことがあったというのです。それは、ボランティアと被災者との間のトラブルに陥る要因となってしまいます。作業を行う者から見れば廃棄物の一つであっても、住民からみれば大切な思い出の品であるかもしれないのです。あくまでも被災者の立場や気持ちを思いやって行動しなければなりません。

 今回の活動を通じて、参加者の中から多くの意見が寄せられました。

  1. 継続的なボランティア活動の必要性
    活動の内容や効果などを検証しながら、より質の高いボランティア活動を実施していくこと。
  2. 避難所や仮設住宅での高齢者や子供達の買い物の代行
    仮設住宅が市街地から離れていること、避難者が自動車やバイクなどの移動手段を持ち合わせていないこと(仮設住宅が敬遠されている原因の一つとも言われております)。
  3. 現地に於いてのピンポイントの物資配給
    必要なもの、ほしいものは刻々と変化している。現地の声が最優先であること。
  4. 様々な形の支援活動
    被災者を温泉や外食にお連れし、気分転換を図ってもらうことなど、支援活動は全体的な視点から考え、ユニークなアイディアも時には必要。他の支援団体と支援活動を補完し合うこと。

これからも青年僧として被災者の気持ちに寄り添えるような活動をして行きたいと考えています。最後に群馬天台青年会の活動については、当ホームページをご覧いただければ幸いです。

○ホームページ
 http://gunjou.jimdo.com

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